街の記憶
浅草についての記憶を二つご紹介します。
まず一つ目は、今から三十年ほど前の年明け仕事初めの日に、浅草の浅草寺に初詣にでかけた話です。今思えば、当時はネットもメールもなく時間が今よりもゆっくり流れているような時代だったかもしれません。
朝、出社して仕事にとりかかったら、周りの人たちがいなくなり始めてました。どうやら連れ立って初詣にでかけてるというはなしを聞いたので、それであれば自分たちもということで、連れ立って初詣にでかけました。
そして向かったのは浅草の浅草寺です。正直、浅草寺に入った記憶はなく、他のグループにも会いつつ食事をしてお屠蘇代わりといってビールを飲んだことくらいしか覚えていません。
今では考えられないことで、後にも先にもこのようなことはありませんでした。ではこれが楽しかった記憶なのかといえばそうでもないです。なぜならこれからしばらくしてバブルが崩壊してますから。
二つ目は、1998年か1999年くらい、今から二十年と少し前のことです。浅草の隅田公園でお花見をしたことがあります。隅田公園は隅田川沿いにある公園で、お花見をしたのは台東区側になります。
普段、隅田公園へお花見にはいきませんが、たまたま当時の勤務先でいく時ががありました。場所とりと買い出しをみなで分担しておこない、まだ明るい時間でしたが、いける人から先に集り少しずつ始めました。
周りもだんだんと人が増えてきて全体的な盛り上がりを見せていきました。自分たちのいる場所から少し散歩がてら公園内を散策したりして桜を堪能しました。
よく食べて、よく飲んで、よくお喋りして時間を過ごしましたが、やがて一組一組お花見を終えて段々と周りに人がいなくなって、だいぶ暗くなっていきました。
そんなときに桜の木の下に寝そべって桜を下から見上げます。目の前いっぱいに桜の花びらが広がっていました。日中の明るいところでみる桜と違って、暗い中でも花びらが浮かび上がって見えて、とても神秘的でした。
このときの桜は今でも人生トップ3に入るくらいの綺麗さでした。もう一度隅田公園でお花見ができそうな時が実はあったのですが、仕事の関係で間に合わず、二次会の別場所から合流でした。その時はお花見ができなくてとても残念でした。
今は、初詣もお花見も、なかなかできるご時世ではないので、当時のことをとても懐かしく思います。また以前のように戻るのを願うばかりです。